一体型フライトの特許・意匠について|CONDOR・ROST・K-FLEX・SOLO・FIXIなどを調査

どうも、武器商人です。

一体型フライトは、ハウスダーツなどにも見られるように、形状そのものは昔から存在しており、CONDOR(コンドル)が起源というわけではありません。

ただし、現在のような「交換可能な一体型フライト」を商業的に広く普及させた存在として、2012年に発売されたCONDORの影響は非常に大きかったと思います。

CONDORについては、発売当初から特許や意匠が出願・取得されていました。しかし、2026年現在では、当時取得されていた特許はすでに権利が消滅しており、一方で別の新しい特許も取得されています。また、初期CONDORに関連する意匠登録も存在します。

そのため、

「一体型フライトって、CONDORの特許で保護されているんじゃないの?」

と思っている人も多いのではないでしょうか。

ところが現在では、CUESOULのROST、TARGETのK-FLEX、HARROWSのSOLO、L-styleのBar Flight 2BA、さらにCOSMO DARTSのFIXIなど、各メーカーから次々と一体型フライトが発売されています。

これだけ似たコンセプトの商品が複数メーカーから販売されていると、

「そもそも、どこまでが特許で保護されているのか?」
「フェリックス社が一体型フライトの特許を持っているんじゃないの?」
「各社はCONDORの特許を避けて設計しているのか?」

といった疑問が出てきます。

ただ、このあたりはメーカーの商品説明だけを読んでいても、なかなか実態がわかりません。

特許の場合、「一体型フライト」という商品ジャンルそのものを保護しているとは限らず、特許請求の範囲に記載された具体的な構造や機構が権利の対象になります。また、特許と意匠では保護される内容も異なります。

そこで今回は、実際の特許公報や意匠登録、各メーカーの公式情報などを確認しながら、一体型フライトに関する特許・意匠がどのようになっているのかを調べてまとめてみました。

【注意】特許・意匠の侵害は公開情報だけでは断定できない

現在、多くのメーカーから、一見するとよく似た一体型フライトが発売されています。

これだけ複数の商品が流通している以上、各メーカーは少なくとも、自社製品が他社の特許権や意匠権を侵害しないという判断や根拠のもとで製造・販売していると考えるのが自然です。

ただし、その判断が必ずしも権利者側の認識と一致するとは限りません。

特許や意匠の権利範囲は非常に複雑です。特に特許については、単純に「見た目が似ている」「構造が似ている」というだけで侵害の有無を判断できるものではなく、特許請求の範囲の文言と製品の具体的な構造などを照らし合わせる必要があります。

メーカー側が「特許を侵害していない」と判断して販売していたとしても、権利者側が異なる見解を持ち、侵害を主張する可能性もあります。

その場合、最終的には当事者間の交渉や、必要に応じて裁判などの法的手続きを通じて判断されることになります。

そのため、本記事では公開されている特許公報や意匠登録、メーカー公式情報などをもとに整理・考察しますが、個々の製品について「特許・意匠を侵害している」「侵害していない」と断定するものではありません。

この点は、あらかじめご了承ください。

一体型フライト各社特許・意匠まとめ

製品 状況 確認できた内容
CONDOR ● 特許・意匠あり 旧特許は権利消滅
3枚羽関連特許は存続中
意匠登録あり
TARGET K-FLEX ● 特許表記あり 公式に「Patented Flex System」と記載
特許番号は確認できず
HARROWS SOLO ● 特許出願中 公式に「patent-pending」と記載
出願番号は確認できず
CUESOUL ROST ― 確認できず 特許に関する記載を確認できず
COSMO FIXI ― 確認できず 特許に関する記載を確認できず
L-style BarFlight 2BA ― 確認できず 特許に関する記載を確認できず

※2026年時点で確認できた公開情報をもとに作成。「確認できず」は、特許が存在しないことを意味するものではありません。

CONDOR(コンドル)の特許・意匠

初期CONDORに関連する特許第5748345号【権利消滅】

CONDORを製造・販売する株式会社フェリックスは、一体型フライトに関連する特許を出願・取得しています。

その中でも、初期のCONDORと深く関係すると考えられるのが、2011年12月9日に出願された「ダーツ」に関する特許です。

  • 出願番号:特願2011-269816
  • 公開番号:特開2013-121368
  • 特許番号:特許第5748345号
  • 出願日:2011年12月9日
  • 登録日:2015年7月15日
  • 出願人:株式会社フェリックス
  • 2026年現在の状態:権利消滅

この特許で重要なのは、「シャフトとフライトが一体になっていること」そのものを権利化しているわけではない点です。

実際、特許文献の中でも、シャフトとフライトを一体成形したダーツは従来から存在していたものとして説明されています。

では、何を特許としているのか。

大きな特徴は、シャフトとフライトを一体成形したうえで、フライト同士の間に溝を設け、その溝をフライト側からバレル側へ向かって徐々に狭くなる楔形状とした構造です。

この構造によって、後から投げたダーツが先に刺さっているダーツへ衝突した際に、大きく弾かれることを抑えることを目的としています。

つまり、この特許を読む限り、

「一体型フライト=フェリックス社の特許」

という単純な話ではありません。

一体型であることに加えて、シャフト部分に設けられた溝の形状など、より具体的な構造の組み合わせが特許として保護されていました。

なお、特許第5748345号については、2026年現在、すでに権利が消滅しています。

2024年に登録された3枚羽CONDORの特許【存続中】

一方、株式会社フェリックスは2023年6月7日に、新たな「ダーツ」に関する特許を出願しています。

こちらは2024年11月25日に、特許第7588908号として登録されています。

  • 特許番号:特許第7588908号
  • 出願日:2023年6月7日
  • 登録日:2024年11月25日
  • 出願人:株式会社フェリックス
  • 2026年現在の状態:存続中

この特許でも、フライトとシャフトが一体であることだけではなく、シャフトとフライト周辺の具体的な形状が定められています。

特徴的なのは、シャフトがフライト側へ向かって徐々に細くなる形状と、3枚のフライトの間に設けられた溝です。

さらに、その溝は単純な楔形ではなく、フライト側からシャフト中央へ向かって幅が広くなり、その後バレル側へ向かって再び狭くなる形状となっています。

旧特許でも「ダーツ同士が衝突したときに弾かれにくくする」という考え方が採用されていましたが、新しい特許は、その構造をさらに発展させたものと見ることができます。

このことからも、フェリックス社が保有している特許は「一体型フライトという商品カテゴリー全体」を独占するものではなく、特定の構造や形状について権利化したものと考えるのが適切でしょう。

CONDORの意匠登録第1457631号

CONDORについては、特許だけでなく意匠登録も行われています。

確認できたものが、意匠登録第1457631号です。

  • 登録番号:意匠登録第1457631号
  • 出願番号:意願2012-1115
  • 出願日:2012年1月23日
  • 登録日:2012年11月16日
  • 意匠に係る物品:ダート矢
  • 意匠権者:株式会社フェリックス
  • 創作者:福永正和、荒井佳和、福永良子

この意匠公報で注目したいのが、「意匠に係る物品の説明」です。

そこには、

「標的に投擲して点数を競う室内娯楽遊戯で先端チップ,バレル,シャフト,フライトから構成され楔状の溝のあるシャフトを有するダート矢」

と記載されています。

ここでも特徴として挙げられているのが、CONDORのシャフト部分に設けられた「楔状の溝」です。

特許第5748345号でも、この楔状の溝は重要な構成要素として登場します。

ただし、特許と意匠では保護する対象が異なります。

特許では、楔状の溝を設けることで後続のダーツが衝突した際に弾かれにくくするといった「技術的な構造や作用」が問題になります。

一方、意匠では、公報の正面図・背面図・側面図・平面図などによって示された「製品の外観」が保護の対象になります。

したがって、

「フライトとシャフトが一体になっている製品はすべてCONDORの意匠権に抵触する」

という意味ではありません。

登録されている具体的な意匠と、他社製品の外観がどの程度同一・類似しているのかが問題になります。

意匠権はいつまで存続する?

この意匠は2012年に出願・登録されたものです。

この時期に出願された日本の意匠権については、原則として登録日から20年間存続します。

そのため、登録料が継続して納付され、途中で権利が消滅していなければ、意匠登録第1457631号は2032年11月16日まで存続する計算になります。

つまり、初期CONDORに関連する特許第5748345号がすでに消滅していたとしても、CONDORの外観について登録された意匠権は別の権利として存続している可能性があります。

CUESOUL ROSTの特許について

CUESOULのROSTシリーズについても、特許の有無を調べました。

今回、CUESOUL公式サイトや公開されている情報を確認した範囲では、ROSTについて「特許取得済み」「特許出願中」といった記載や、ROSTに対応すると確認できる特許番号を見つけることはできませんでした。

そのため、本記事では、

CUESOUL ROSTについては、特許に関する記載を確認できなかった

という扱いにします。

なお、公開情報から確認できなかっただけで、特許が存在しないと断定するものではありません。

TARGET K-FLEXの特許について

TARGETのK-FLEXについては、メーカー公式サイトで**「Patented Flex System」**と表記されています。

公式説明では、K-FLEXのシャフト部分に設けられたツイスト構造について「patented twist system」とされており、ダーツ同士が接触した際にシャフト部分がわずかにねじれることで、衝撃を逃がす仕組みとして説明されています。

つまり、TARGETが特許技術としてアピールしているのは、

「フライトとシャフトが一体になっていること」そのものではなく、シャフト部分のツイスト構造

と考えられます。

一方、TARGET SPORTS LIMITEDおよびTARGET SPORTS JAPAN名義の特許文献を確認しましたが、今回調べた範囲では、K-FLEXの「Patented Flex System」に該当すると断定できる特許文献を見つけることはできませんでした。

TARGETは日本国内でもダーツ関連の特許を取得しています。例えば特許第6751931号がありますが、こちらはフライトとシャフトを別部品として接続し、フライトを回転可能にする構造に関するもので、8 Flight系の技術と考えられます。

K-FLEXの一体型構造とは別物です。

したがって、今回の調査結果としては、

TARGET公式ではK-FLEXに特許技術が使用されていると明記されているものの、その特許番号や具体的な特許文献までは確認できなかった

という整理になります。

なお、特許文献を確認できなかったからといって、特許が存在しないと断定することはできません。海外でのみ出願・登録されている可能性や、別の名称・分類などで出願されている可能性もあります。

L-style BarFlight 2BAの特許について

L-styleのBarFlight 2BAについても、特許の有無を調べました。

L-styleは過去にダーツフライトに関する特許を取得しており、特許第4754524号などが存在します。

ただし、今回L-style公式サイトや公開されている特許情報を確認した範囲では、BarFlight 2BAについて「特許取得済み」「特許出願中」といった記載や、BarFlight 2BAに対応すると確認できる特許番号を見つけることはできませんでした。

そのため、本記事では、

L-style BarFlight 2BAについては、特許に関する記載を確認できなかった

という扱いにします。

なお、公開情報から確認できなかっただけで、特許が存在しないと断定するものではありません。

HARROWS SOLOの特許について

HARROWSの一体型フライト「SOLO」については、メーカー公式サイトで**「patent-pending Aero Core Technology」**と表記されています。

つまり、2026年現在、HARROWSがSOLOについてアピールしている技術は「特許取得済み」ではなく、特許出願中の技術です。

ここでも、

「フライトとシャフトが一体になっていること」そのものを特許技術としているわけではない

と考えられます。

HARROWSが「Aero Core Technology」として説明しているのは、フライト中央部分に設けられた微細な表面構造です。

HARROWS公式によると、この構造は航空機の翼下面から着想を得たもので、中央部にマイクロテクスチャーを設けることで空気の乱れを抑え、滑らかな外周部分によって空気抵抗を減らすことを目的としています。

つまりSOLOの場合、一体型であることそのものではなく、

フライト表面の空力的な構造

について特許出願が行われていると考えられます。

一方、今回確認した範囲では、この「Aero Core Technology」に対応すると断定できる特許文献や出願番号までは特定できませんでした。

したがって、今回の調査結果としては、

HARROWS公式がAero Core Technologyについて「patent-pending(特許出願中)」と明記しているものの、具体的な出願番号については確認できなかった

という整理になります。

COSMO FIXI(フィクシー)の特許について

COSMO DARTSのFIXI(フィクシー)についても、特許の有無を調べました。

COSMO DARTSを展開するコスモ精機は、これまでダーツのフライトやシャフトに関する特許を取得しています。

しかし、今回公式サイトや公開されている特許情報を確認した範囲では、FIXIについて「特許取得済み」「特許出願中」といった記載や、FIXIに対応すると確認できる特許番号を見つけることはできませんでした。

そのため、本記事では、

COSMO FIXIについては、特許に関する記載を確認できなかった

という扱いにします。

なお、公開情報から確認できなかっただけで、特許が存在しないと断定するものではありません。