どうも、武器商人(@BukiDartsBot)です。
ダーツのバレルを選ぶ際によく耳にする「タングステン」について説明します。
難しい説明はいくらでもできますが、できるだけ簡単でシンプルに、そしてダーツに関係する内容に絞ってまとめます。
タングステンとは?
タングステン(tungsten)は、スウェーデン語で「重い石」を意味する金属で、元素記号はWです。
タングステンの特徴のうち、ダーツに関連するものを挙げます。
- 非常に硬く重い
- 鉄の約2.5倍の比重
- 加工が非常に難しい
- 世界のタングステン生産量の大部分を中国が占めている
ダーツのバレルにタングステンが使われるのはなぜか?
ダーツのバレルには、タングステンのほか、ステンレスや真鍮などが使われることもありますが、ほとんどがタングステン製です。
その主な理由は、先ほど述べたように、タングステンが非常に硬く重いという点にあります。
まず、硬さ(頑丈さ)の点から説明します。ダーツは244cm先の的に金属の矢を投げる競技ですが、ダーツ同士がぶつかる際の衝撃はかなり大きく、鉄などの素材だとその衝撃で削れたり欠けたりします。
タングステンも完全に削れたり欠けたりしないわけではありませんが、非常に高い耐久性を持っています。
次に重さの点です。
ダーツは244cm先の小さな的を狙う競技です。そのため、バレルには細さが求められます。ステンレスや真鍮製のバレルを使ってみるとわかりますが、これらの素材ではどうしてもバレルが太くなってしまいます。
これら二つの理由から、ダーツのバレルにはタングステンが最適な素材として選ばれています。
タングステン80%、90%、95%の違いは?
「タングステン〇〇%」という表記をよく目にするかと思います。
タングステンは非常に硬く重い金属ですが、加工のしやすさのために、タングステンと他の金属を混ぜて使うのが一般的です。
2010年頃までは、ダーツのバレルはタングステン90%が一般的でした。しかし、最近ではタングステン70%、80%、95%のバレルも増えています。
以下に簡単に説明します。
タングステン70%、80%
タングステン90%のバレルよりも多少(2gや3g程度)軽いです。多少削れやすいですが、気になるほどではありません。元々は価格を抑えるためにタングステン比率を下げたと考えられますが、使用上はさほど問題ありません。
タングステン95%
理論上、タングステン90%よりも重くなりますが、5%の差は重さに大きな影響を与えません。また、ダーツのネジの部分を削って軽くしているものもあります。タングステン90%よりも硬いですが、その影響か、欠けたり折れたりする報告も見られます。
タングステン95%の存在価値
ソフトダーツのバレルの重さには競技ルール上の制限が設けられております。セッティング込みで25gとかそのくらいです。そうすると、バレル単体ではせいぜい23gが限度です。
ソフトダーツのバレルの重さには競技ルール上の制限があります。セッティング込みで25g程度が上限です。したがって、バレル単体ではせいぜい23gが限度となります。
ダーツの太さや長さにも一応制限はありますが、よほど極端な形でない限り、ほとんどの場合はその範囲内に収まります。
そのため、重さを23g以内に収めることがポイントになります。
ダーツのバレルは持ち主の好みによって長さや太さが異なりますが、例えば長さが50.8mm、太さが7.0mmの細長いバレルを想像してください。このサイズであれば、タングステン90%で十分作成可能です。仮に重さがオーバーしてしまった場合は、バレルのネジ部分を深く削ることで重量を調整する必要があります。
つまり、タングステンの比率を高めた結果、重くなったバレルの重量を削ることで調整しているという、やや矛盾した状況になるわけです。
このような点を考慮すると、タングステン比率を95%にする意味はあまりないと私は考えます。タングステン95%でなければ実現できない形状があるなら別ですが、そういったシビアな形状はほとんど見かけません。さらに、強度が低下したり価格が高くなるというデメリットもあるため、よほどの理由がない限りタングステン95%は必要ないのではないでしょうか。
タングステン比率が同じなのにグラムの違うバレル
ダーツは非常に繊細なスポーツであり、1gや2gの違いが競技に大きな影響を与えます。そのため、同じ形で重さが異なるバレルが発売されることはよくあります。
しかし、軽くするためには形を小さくするか、ネジ部分を深く削るか、タングステンの比率を下げるしかありません。多くのユーザーは形が変わることを好まないため、ネジ部分を深く削る方法が多く採用されます。
ここで問題になるのが、重心位置です。削ることでバレルの重さのバランスが変わるため、重心位置の調整が必要になります。センター重心のバレルであれば、前後を同じ重さ分だけ削れば、同じ重心位置を保てます。
しかし、この重量調整は非常に難しいです。同じセンター重心のバレルであっても、前後の削りの深さが異なると、重心がより中央に寄ることになります。重心位置のど真ん中をグリップする人はそれほど影響を受けませんが、重心より後ろを持つ人にとっては、重量バランスが変わる可能性があります。
「自分は重心のど真ん中をグリップしているので関係ない」と考える方もいるかもしれませんが、セッティングによって重量バランスが変わるため、その違いが感覚的にわかるレベルになることもあります。
重心を測る便利なダーツグッズについては以下のレビュー記事を参考にしてください。