CUESOUL(キューソウル)は中国式事業展開で日本ダーツ界の地政学を変えるのか?

ども、武器商人です。

CUESOUL(キューソウル)という中国発のダーツ&ビリヤードメーカーがあります。創業者はケニー・チャン氏。日本のプロダーツツアー「JAPAN」「PERFECT」のスポンサーとして2019年に突如登場し、一気に注目を集めました。

当時の日本ダーツ界では「CUESOULって何者?」という空気が強かったのですが、コロナ禍を経て明けた頃から、ビジネス展開が一気に加速しました。

僕自身もご縁があり、何度か物品提供をいただいていますし、SNSでも大変良くしていただいています。

IT業界にいる僕から見ると、日本メーカーが中国メーカーのスケールに飲み込まれる構造がそのままダーツにも流れ込んでいるように見えます。

今回は、「なぜCUESOULは日本ダーツ業界に変化をもたらす可能性があるのか?」について書いていきます。

日本=“人中心”、中国=“市場中心”という文化の違い

日本ダーツ業界は“人中心”で動いている

ダーツブログを9年続けるなかで、日本ダーツ業界には独特の“人中心”の商文化があると感じています。

  • JAPAN/PERFECTという二大プロツアー
  • 賞金トーナメント+スポンサー登録制度
  • プロ契約モデルのバレル
  • 選手の手売り文化や推し活経済
  • ダーツショップ中心のリアル流通(+自前EC)
  • 保守的市場

つまり、日本では「誰が売るか」が重視されます。人間関係やプロ文化が市場の中心にあります。

CUESOULは“市場中心”の発想で参入している

対してCUESOULは、市場・流通・ECを軸とする“市場中心”の商文化を持ち込んでいます。

  • Amazon・楽天に大量在庫を配置
  • 一般ユーザーにも物品提供しSNS拡散を重視
  • スポンサー選手を短期間で多数獲得あるいは多数契約解除(更新せずも多い)
  • プロモデルバレルに依存せず幅広いラインナップ
  • 圧倒的にリーズナブルな価格帯
  • 一体型フライト「ROST」に見られる高速な商品開発
  • 中国生産&直送のオーダーバレル体制

人よりも流通、人脈よりもスケール、プロより市場。根本的な思想が全く違います。

まとめ:両者は“同じメーカー”でも別ゲームを戦っている

日本=人中心、中国=市場中心。

両者は同じ「ダーツメーカー」という見た目をしながら、実際には全く異なる市場戦略を採用しています。この構造の違いが、変化の起点になっています。

CUESOUL創業者ケニー・チャンの思想

インタビューから浮かぶ4つのスタンス

2019年の『NEW DARTS LIFE』に掲載されたインタビューから、ケニー氏の思想を整理します。

  • 日本はアジア最大の市場で競争が激しい
  • 商品クオリティに強い自信(日本ブランドに負けない)
  • 中国市場の成長は巨大すぎて読めない
  • 世界市場前提の展開

参考記事:

Vol.97 Kenny ChenCUESOUL | 世界/日本 ダーツ情報 ニューダーツライフ オフィシャルサイト
2019年5月

象徴的な一言:「中国企業ですが、大きな牙城を切り崩したい」

この“ですが”には、ケニー氏の意図が詰まっていると感じます。僕の解釈では、「中国式のやり方で、日本ダーツ界の既存構造に挑む」という宣言だと感じました。この記事は2019年のものですが、その後のCUESOULの事業展開は、この言葉に集約されていると再確認できます。

一般論としての日本企業 vs 中国企業:スケール戦略の違い

日本企業:少しずつ積み上げる「改善型スケール」

  • 少量生産から始める
  • 需要を見ながら徐々に増やす
  • 品質・職人文化重視
  • 信頼関係を軸にした成長

品質は高い反面、スピードとスケールで不利になる場面があります。

中国企業:最初から「規模の暴力」で叩く

  • 初期段階から工場規模を一気に拡大
  • 大量在庫を前提に動く
  • 越境ECを前提にした供給
  • 10倍・100倍ロットで市場を叩く

「改善しながら増やす」ではなく「最初から大量生産」という思想です。

PC・家電市場ではすでに起きた構造転換

日本(NEC・富士通・ソニー) vs 中国・台湾(Lenovo・ASUS・Acer)。
スケール × EC戦略で中国勢が大規模な競争に勝利した歴史があります。

日本=人中心、中国=市場中心という根本構造

日本企業=人的ネットワーク
中国企業=市場ネットワーク

この構造差がダーツ市場にもそのまま現れています。

CUESOULは日本ダーツ業界の何を変えるのか?

1. 価格と供給の常識を変える

  • Amazon/楽天で常に在庫あり
  • 供給不足が起きにくい
  • 価格が下がりやすい構造

日本メーカーが苦手としてきた領域です。

2. EC中心の「市場主導型流通」へ移行させる

日本はこれまで、

  • ショップ
  • 大会ブース
  • プロの手売り

などリアル流通が中心でした。

CUESOULは、

  • EC前提
  • SNS → ECの導線
  • 越境ECによる供給

という“物で売る”モデルで戦っています。

3. プロモデル依存の価値観を揺らす

CUESOULは、

  • プロモデルをそこまで重視しない
  • 一般ユーザーのレビューを重視
  • デザインと色展開で勝負
  • オーダーバレルにも力を入れている

という“別軸”の価値を見せています。

4. 日本メーカーへの外圧が強まる

  • 価格競争
  • EC対応の遅れ
  • プロ依存モデルの見直し
  • 在庫戦略の再設計
  • 流通構造の変化

まとめ:変化はすでに始まっている

CUESOULはポッと出て来た中国メーカーというイメージかもしれませんが、しっかりとしたマーケット分析にもとづき、中国企業らしい大規模かつスピーディな経営で、日本のダーツ市場を大きく変えようとしているように僕には見えます。

徐々にですが、着実に結果を出していると僕は思います。