どうも、武器商人です。
PERFECT2025も最終戦を終えたこのタイミングで、前々から気になっていたテーマを改めて整理してみようと思いました。それが、「PERFECTのレベルは下がっているのか?」という話です。
少し曖昧な問いですよね。
JAPANと比較してそうなのか。
それとも、あくまで印象としてそう見えているだけなのか。
そこで今回は、感覚論ではなく「スタッツ」という客観的な視点から、このテーマを見ていこうと思います。
- 調査期間(2011年~2025年)
- PERFECT スタッツランキング(PPD)一覧
- 【2012年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2013年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2014年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2015年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2016年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2017年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2018年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2019年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2020年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2021年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2022年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2023年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2024年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 【2025年|PERFECT男子|PPD 上位5】
- 年度跨ぎ PPDランキング(2012–2025 上位5データより)
- ここまでのデータから言えること
- 年度別|PERFECT男子 PPD トップ20 点数帯分布一覧
- PPD分布の考察
- まとめ|PERFECTのレベルは下がったのか?
調査期間(2011年~2025年)
PERFECTは2007年にスタートしたツアーですが、現在のような「スタッツランキング」という形での集計が確認できるようになるのは2011年以降になります。
そのため本記事では、2011年から2025年までのデータを対象に、スタッツの変化を見ていきます。
また、使用するスタッツは PPD のみとします。
なお、本記事では対象を PERFECT男子のみに限定し、女子については別記事で扱うことにします。
PPDのみに絞った理由は、01という競技の性質にあります。
01は501を最短で0にすることを目的とした競技であり、基本的に誰が相手であっても、最短到達を目指すというゲーム性は変わりません。
そのためPPDは、到達能力や再現性を比較的素直に反映します。
一方、クリケットは点数を多く取ったほうが勝ちとなる競技で、相手とのレベル差や守備・戦術の選択、その時代の攻め方のトレンド、さらには集団全体の拮抗具合によって数値が変動します。
こうした特性を踏まえると、年ごとの競技レベルの差を比較する指標としては、やや扱いづらい面があります。
以上の理由から、本記事ではPPDに絞って検証を行います。
PERFECT スタッツランキング(PPD)一覧
【2012年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:山本 信博(37.41)
2位:浅田 斉吾(35.67)
3位:小野 恵太(35.58)
4位:山田 勇樹(35.46)
5位:星野 光正(34.91)
【2013年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:浅田 斉吾(36.95)
2位:小野 恵太(36.08)
3位:山田 勇樹(35.96)
4位:谷内 太郎(35.77)
5位:知野 真澄(35.77)
【2014年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:知野 真澄(37.48)
2位:山田 勇樹(36.83)
3位:棟田 貴弥(36.62)
4位:浅田 斉吾(36.22)
5位:小野 恵太(36.09)
【2015年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:浅田 斉吾(39.46)
2位:山田 勇樹(38.10)
3位:知野 真澄(36.80)
4位:小野 恵太(36.62)
5位:山本 信博(36.00)
【2016年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:浅田 斉吾(38.44)
2位:知野 真澄(37.80)
3位:金子 憲太(37.03)
4位:小野 恵太(36.51)
5位:山田 勇樹(36.38)
【2017年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:浅田 斉吾(38.65)
2位:山田 勇樹(36.58)
3位:鈴木 徹(36.37)
4位:知野 真澄(36.30)
5位:大石 藍貴(35.63)
【2018年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:浅田 斉吾(39.19)
2位:山田 勇樹(37.40)
3位:鈴木 徹(37.11)
4位:知野 真澄(36.55)
5位:西谷 譲二(35.31)
【2019年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:浅田 斉吾(38.16)
2位:山田 勇樹(37.26)
3位:鈴木 徹(37.16)
4位:知野 真澄(37.00)
5位:大石 藍貴(36.68)
【2020年|PERFECT男子|PPD 上位5】
コロナ禍で非開催
【2021年|PERFECT男子|PPD 上位5】
コロナ禍で非開催
【2022年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:森窪 龍己(36.88)
2位:松田 純(36.74)
3位:砂川 大(35.81)
4位:上里 徹弥(35.62)
5位:津村 友弥(35.47)
【2023年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:上里 徹弥(35.41)
2位:森 勇樹(34.96)
3位:國木 裕介(34.83)
4位:松田 純(34.72)
5位:砂川 大(34.58)
【2024年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:阿部 悠太郎(36.46)
2位:砂川 大(35.55)
3位:Hugo Leung(35.33)
4位:大石 藍貴(35.24)
5位:松田 純(34.95)
【2025年|PERFECT男子|PPD 上位5】
1位:Lee Mathew(37.37)
2位:Pupo Teng Lieh(37.18)
3位:Hugo Leung(37.04)
4位:阿部 悠太郎(36.06)
5位:安食 賢一(35.02)
年度跨ぎ PPDランキング(2012–2025 上位5データより)
1位 2015年度 浅田 斉吾(39.46)
2位 2018年度 浅田 斉吾(39.19)
3位 2017年度 浅田 斉吾(38.65)
4位 2016年度 浅田 斉吾(38.44)
5位 2019年度 浅田 斉吾(38.16)
6位 2015年度 山田 勇樹(38.10)
7位 2025年度 Lee Mathew(37.37)
8位 2014年度 知野 真澄(37.48)
9位 2016年度 知野 真澄(37.80)
10位 2019年度 山田 勇樹(37.26)
11位 2018年度 山田 勇樹(37.40)
12位 2019年度 鈴木 徹(37.16)
13位 2025年度 Pupo Teng Lieh(37.18)
14位 2025年度 Hugo Leung(37.04)
15位 2016年度 金子 憲太(37.03)
16位 2013年度 浅田 斉吾(36.95)
17位 2014年度 山田 勇樹(36.83)
18位 2015年度 知野 真澄(36.80)
19位 2022年度 森窪 龍己(36.88)
20位 2017年度 山田 勇樹(36.58)
ここまでのデータから言えること
2012年から2025年までのPERFECT男子PPD上位データを通して見ると、ひとつだけ明確に言えることがあります。
それは、浅田斉吾という選手だけが、他の上位選手とは明らかに異なる領域にいたという点です。
年度をまたいでPPDを並べると、39台・38台といった突出した数値は、ほぼ浅田斉吾の名前で占められています。一方で、浅田選手を除いた上位選手たちのPPDは、時代をまたいでも概ね同じ帯域に収まっており、極端な断絶は見られません。
つまり、
「当時は全体のレベルが高かった」
というよりも、
「ひとりだけ異常な到達点にいた選手が存在した」
と捉えるほうが、数字の構造としては正確です。
他の上位選手同士の差は、2010年代前半から現在に至るまで大きくは変わっておらず、むしろ帯域は連続しています。その中で、浅田斉吾だけが何度も別次元の数値を記録している。この一点だけを見ても、浅田斉吾を「特異点」として扱うことは、評価でも印象論でもなく、純粋にデータに基づいた結論だと言えます。
年度別|PERFECT男子 PPD トップ20 点数帯分布一覧
トップ5の比較から、浅田プロだけが明らかに異常値となっていることが見えてきました。
そこで次に、視点を少し広げ、2012年~2025年までのトップ20選手のPPD分布を確認することにしました。
さすがにトップ20すべての選手名と数値を並べると、情報量が多くなりすぎてデータとして読みづらくなってしまいます。そこで本項では、個々の選手名は扱わず、点数帯ごとの人数分布のみに絞って整理しています。
| 年度 | 39点台 | 38点台 | 37点台 | 36点台 | 35点台 | 34点台 | 33点台 | 32点台 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2012 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 6 | 10 | 0 |
| 2013 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 3 | 10 | 0 |
| 2014 | 0 | 0 | 1 | 4 | 5 | 5 | 5 | 0 |
| 2015 | 1 | 1 | 0 | 3 | 1 | 5 | 7 | 2 |
| 2016 | 0 | 1 | 2 | 2 | 4 | 6 | 5 | 0 |
| 2017 | 0 | 1 | 0 | 3 | 4 | 12 | 0 | 0 |
| 2018 | 1 | 0 | 2 | 1 | 2 | 11 | 3 | 0 |
| 2019 | 0 | 1 | 3 | 2 | 7 | 7 | 0 | 0 |
| 2022 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 6 | 8 | 0 |
| 2023 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 12 | 0 |
| 2024 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 7 | 9 | 0 |
| 2025 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 12 | 3 | 0 |
※ 2020・2021はコロナ禍により非開催
※ 各年とも トップ20のみ を対象
※ 個人名・順位は扱わず、点数帯の人数分布のみを集計
PPD分布の考察
まず、トップ20のPPD分布を年度ごとに見ていくと、PERFECT男子のレベルは「上がっている」「下がっている」といった単純な話ではないことが分かります。
2015年から2018年にかけては、38点台や39点台といった非常に高いPPDが見られ、この時期は数字だけを見ると、レベルがかなり高かったように見えます。ただし、これはリーグ全体が底上げされていたというよりも、浅田選手という異常値が存在していたと表現したほうが実態に近いかもしれません。
トップ20全体の分布を見ると、当時も中心は34~35点台であり、すべての選手が同じように高い水準にあったとまでは言えません。もっとも、試合の印象として「レベルの高い試合に見えた」という感覚は、確かにあったと思います。
2020年ごろ、コロナ禍の影響で多くの選手がPERFECTからJAPANに移籍したのは事実です。また、コロナ禍明けとなる2022年から2024年にかけては、33~34点台の選手が増え、36点台以上の選手がほとんど見られなくなりました。このため、最近の数字だけを見ると「レベルが下がった」と感じる人が多いのも無理はありません。実際、この時期については、一時的に分布が下に寄っていた可能性はあると考えられます。
ただし、2025年のデータを見る限り、コロナ禍と比較して大きくPPDが低下しているという傾向は見られません。
ここで知っておきたいのが、PPDという指標の特徴です。01は、相手が先にフィニッシュした時点で自分のPPDが確定します。そのため、強い相手と対戦して負けた場合でも、試合内容次第ではPPDが高めに出ることがあります。
特に、34点台と35点台の差は本当にわずかで、この境目にいる選手は、対戦相手や試合展開の違いだけで、どちらの点数帯に分類されるかが変わってしまいます。
つまり、非常に強い選手が存在していた時代は、周囲の選手のPPDも引き上げられやすく、その選手がいなくなると、分布全体が少し下がったように見えやすくなります。これは、必ずしも選手一人ひとりの実力が落ちたことを意味するわけではありません。
実際、2025年のデータを見ると、37点台の選手が複数確認でき、分布は再び上方向に広がり始めています。こうした動きを踏まえると、PERFECT全体のレベルが長期的に下がり続けていると考えるよりも、一時的な揺れと、見え方の変化があったと捉えるほうが、データには素直だと言えるでしょう。
まとめ|PERFECTのレベルは下がったのか?
本記事では、PERFECT男子のPPDを指標として、2012年から2025年までのトップ20選手の分布を確認してきました。その結果、PERFECTのレベルを「上がった」「下がった」と単純に判断するのは難しく、時期ごとの分布の変化として見る必要があることが分かりました。
まず、2015年から2018年にかけて見られた38点台・39点台という高い数値については、PERFECT全体のレベルが一斉に上がったというよりも、浅田斉吾選手という明確な異常値の存在による影響が大きかった可能性が高いと言えます。この突出した選手がいたことで、当時のPERFECTは「非常にレベルが高かった」という印象を持たれやすかったのかもしれません。
また、2020年ごろにPERFECTの有力選手が多数JAPANに移籍した点は、ツアー全体にとって非常に大きな出来事だったと思います。その後の2022年から2024年にかけては、33〜34点台に分布が集中し、36点台以上の選手がほとんど見られなくなりました。この時期については、実際にPPD分布がやや下振れしていた可能性があり、「レベルが下がった」と感じられても不思議ではない状況だったと言えるでしょう。
ただし、ここで注意したいのがPPDという指標の特性です。01は、相手が先にフィニッシュした時点で数値が確定する競技であり、対戦相手の強さや試合展開の影響を受けやすい側面があります。特に、34点台と35点台を分ける差はごくわずかで、この境界付近にいる選手の数は、PERFECT内に突出した強豪がいるかどうかで大きく変わります。
つまり、異常値が存在していた時代とそうでない時代とでは、PPD分布の見え方そのものが変わってしまうのです。
実際に2025年のデータを見ると、37点台の選手が複数確認でき、PPD分布は再び上方向に広がり始めています。これは、PERFECT全体のレベルが長期的に下がり続けているわけではないことを示す、分かりやすい材料のひとつだと思います。
以上を踏まえると、「PERFECTのレベルが下がった」という評価は、浅田斉吾という異常値が基準になっていた時代との比較によって生まれた印象に、コロナ禍による一時的な下振れが重なった結果だと考えるのが自然でしょう。少なくとも、今回確認したデータを見る限り、PERFECTというツアーそのものが弱体化し続けていると結論づける根拠は見当たりません。

