プロダーツのスポンサー制度とは?選手が得られるのは「お金」ではなく「チャンス」

 

プロダーツのスポンサー制度とは?選手が得られるのは「お金」ではなく「チャンス」

こんにちは、武器商人です。

僕は2017年からダーツブログを運営し、これまで多くのプロ選手やスポンサー企業、ショップオーナーなどと話をしてきました。

そのなかで、ダーツ業界のスポンサーについて強く感じていることがあります。

ダーツ業界のスポンサーは、必ずしも「お金をくれる人」ではない。スポンサーが与えてくれるのは「チャンス」である。

ということです。

SNSを見ていると、

「スポンサーを募集しています」
「スポンサーがいないとプロツアーを回るのが厳しい」

といった投稿を目にすることがあります。

もちろん、プロ活動にはお金がかかります。しかし、スポンサーが付けば、その活動費をスポンサーがすべて負担してくれるわけではありません。

むしろ日本のソフトダーツ業界におけるスポンサー制度を考えるうえでは、**「スポンサー=収入源」ではなく「収益化する機会を与えてくれる存在」**と考えたほうが、実態に近いのではないかと思っています。

この記事では、プロダーツにスポンサーが必要とされる理由から、ダーツ業界独特のスポンサー制度、そして選手がスポンサーから何を得るべきなのかについて考えていきます。

プロダーツでスポンサーが必要とされる理由

日本のソフトダーツのプロツアーでは、スポンサーは非常に重要な存在です。

その背景のひとつに、賞金大会をめぐる日本の法規制があります。

大会参加者から集めた参加費をそのまま賞金原資として分配するような仕組みには、刑法上の賭博罪をはじめとする法的な問題が関係してきます。

そのため、プロツアーにおける賞金や大会運営では、企業などから提供されるスポンサー資金が重要な役割を担っています。

このあたりについては、別の記事で詳しく解説しています。

参考:ダーツの大会(ハウストーナメント含む)の賞金についての法規制|風営法・景品表示法・刑法との関連

つまり、日本のダーツ業界にスポンサー文化が発達した背景には、単純に「選手を応援する企業が多いから」という理由だけではなく、プロツアーや大会を成立させるための構造的な事情もあります。

ダーツ業界のスポンサー制度はどのような仕組みなのか

JAPANやPERFECTなどのプロツアーを見ると、多くの選手がユニフォームに企業やショップのロゴを付けています。

一般的にはスポンサー企業が団体側にスポンサー料や広告料を支払い、その対価として広告枠を得ます。

その広告手段のひとつとして、所属・契約選手のユニフォームなどに企業ロゴを掲載する仕組みがあります。

つまり、ダーツ業界では、

スポンサー=選手個人に活動費を渡す存在

というより、

スポンサー=プロツアーや選手を広告媒体として活用する広告主

という側面が非常に強くなっています。

ここを理解しておかないと、「スポンサーが付いたのだから、その選手はスポンサーからかなりのお金をもらっているのだろう」と誤解してしまいます。

実際には、スポンサーになった企業はすでに広告費やスポンサー料を負担しています。

そこからさらに、個々の選手に遠征費や活動費まで支給するとなれば、スポンサー側には追加の負担が発生します。

もちろん契約内容は企業や選手によって異なりますが、スポンサーが付いたからといって、選手に直接まとまった現金収入が発生するとは限りません。

「スポンサー=お金をくれる人」ではない

SNSでは「スポンサー募集中」という言葉をよく見かけます。

ここで一度考えてみたいのが、

スポンサーを獲得して、その選手はスポンサーから何を得たいのか?

ということです。

遠征費でしょうか。

エントリー費でしょうか。

用品の提供でしょうか。

イベント出演の機会でしょうか。

それとも、単純な金銭的支援でしょうか。

スポンサー企業の立場から考えると、スポンサー活動は基本的に広告・宣伝活動です。

企業としては当然、

支払ったスポンサー費用に対して、できるだけ大きな宣伝効果を得たい

と考えます。

一方で選手側が、

スポンサーからできるだけ多くの活動費をもらいたい

と考えれば、両者の目的が噛み合わなくなる可能性があります。

スポンサーにとって重要なのは「選手にいくら渡したか」ではありません。

その選手を支援することによって、

「どれだけ商品が売れたか」
「どれだけ店に人が来たか」
「どれだけブランドを知ってもらえたか」

といった成果です。

この視点を持つと、スポンサーとの向き合い方も少し変わってきます。

スポンサーが選手に提供するのは「収益化のチャンス」

では、スポンサーは選手に何を提供しているのでしょうか。

僕は、もっとも大きなものは**「収益化するためのチャンス」**だと考えています。

たとえば、

  • ダーツイベントを開催する機会
  • オリジナルグッズを制作・販売する機会
  • ダーツ用品やユニフォームなどの提供
  • 店舗での練習環境や投げ代の支援
  • 商品やサービスを紹介する機会
  • スポンサーの販路やブランド力を利用できる機会

などです。

スポンサーが直接お金を渡さなくても、こうした環境を用意することで、選手が収入を作れる可能性は生まれます。

たとえば、スポンサーやショップが選手のイベントを開催してくれたとしても、お客さんが集まらなければ利益にはなりません。

グッズを作ってもらっても、売れなければ収入にはなりません。

逆にイベントに多くのお客さんを呼び、グッズを販売し、スポンサーの商品まで売れる選手であれば、その選手を支援する経済的な価値は高くなります。

つまりスポンサーが提供できるのは、

「お金そのもの」ではなく「お金を生み出せる場所や機会」

なのです。

チャンスを収入に変えるには「セールススキル」が必要

スポンサーからチャンスを与えてもらったとしても、それだけでは収入にはなりません。

そのチャンスを実際の売上や集客につなげる力が必要です。

そこで重要になるのが、広い意味でのセールススキルです。

セールスというと「商品を売る営業」をイメージするかもしれませんが、ここではもっと広い意味で使っています。

たとえば、

SNSで人を集める。

イベントに来てもらう。

グッズを買ってもらう。

スポンサーの商品を紹介する。

ファンとの関係を作る。

自分自身に興味を持ってもらう。

これらはすべて、自分や商品、サービスの価値を他人に伝え、行動してもらうための能力です。

競技で強いことと、商品を売れることは必ずしも同じではありません。

プロとして大きな実績を持っている選手でも、SNSやイベントが苦手な人はいるでしょう。

反対に競技成績ではトップクラスでなくても、多くのファンを持ち、イベントを成功させたり、商品を販売したりできる選手もいます。

スポンサーから見れば、どちらにも異なる価値があります。

スポンサーの多さが選手の「実績」になることもある

ダーツのプロ選手を見ると、ユニフォームに非常に多くのスポンサーロゴを付けている人がいます。

本来であれば、選手がユニフォームにロゴを掲載することでスポンサー企業を宣伝する、という構造です。

しかし現在のダーツ業界を見ていると、ときに逆の作用も起きているように感じます。

つまり、

スポンサーが多いこと自体が「この選手には価値がある」という証明になる

という現象です。

スポンサーが多数付いている選手を見ると、

「多くの企業から評価されている選手なのだろう」
「イベントを開催すれば人が集まるのだろう」
「商品を紹介すれば売れるのだろう」

という印象が生まれます。

すると、さらに別の企業からスポンサーの声がかかる可能性もあります。

スポンサーがスポンサーを呼ぶ状態です。

ある意味では、スポンサーロゴそのものが選手の信用や実績を示すものになっているとも言えます。

プロダーツ選手は自分の「武器」を考えるべき

ただし、すべての選手が同じ方法でスポンサーに価値を提供する必要はありません。

イベントが苦手な人が、無理にイベントをたくさん開催しても長続きしないでしょう。

SNSが苦手な人が、毎日無理に投稿したからといって大きな成果が出るとも限りません。

重要なのは、

自分には何ができるのか

を考えることです。

たとえば、

競技力。

SNSでの発信力。

イベントでの接客。

グッズ販売。

動画配信。

商品レビュー。

レッスン。

大会運営。

選手によって得意分野は違います。

そして、得意分野が違えば相性の良いスポンサーも当然変わります。

僕自身はプロダーツ選手ではありませんが、ブログでダーツ用品のレビューや紹介を長く続けてきたことで、メーカーから商品の提供やレビュー依頼を受けることがあります。

競技力がなくても、別のスキルが企業にとって価値を持てば仕事につながります。

これはプロ選手でも同じだと思います。

スポンサーを探す前に「自分は何を提供できるか」を考える

スポンサーがほしいと考えたとき、多くの人は、

「どこかスポンサーになってくれる企業はないか」

と探し始めます。

しかし、その前に考えたほうがいいことがあります。

「自分がスポンサーに何を提供できるのか」

です。

企業がスポンサーになる以上、何らかの目的があります。

宣伝してほしい。

商品を売ってほしい。

店舗に人を呼んでほしい。

ブランドを広めてほしい。

ダーツ業界との接点を作りたい。

その目的に対して、自分には何ができるのか。

ここが明確になれば、スポンサーへの提案内容も変わります。

「プロダーツ選手なのでスポンサーになってください」

ではなく、

「自分にはこういうファンがいて、こういう活動ができるので、御社にこういう価値を提供できます」

と言える選手のほうが、企業にとっても支援する理由がわかりやすくなります。

まとめ|スポンサーは「お金」ではなく「チャンス」をくれる

日本のソフトダーツ業界では、スポンサーは非常に重要な存在です。

しかし、

スポンサー=選手にお金をくれる人

とだけ考えてしまうと、スポンサー制度の本質を見誤ってしまうと思います。

スポンサー企業が選手に提供できる最大の価値は、

収益を生み出すための「チャンス」

です。

イベントを開催できる。

商品を作れる。

練習環境を提供してもらえる。

多くの人に自分を知ってもらえる。

そうしたチャンスを実際の収益や価値に変えられるかどうかは、最終的には選手自身にかかっています。

だからこそ、スポンサーを探すことと同時に、

競技力だけではない、自分自身の「売る力」を育てること

も重要なのではないでしょうか。

物販、SNS、イベント、接客、競技力。

自分が何を武器にできるのかを考える。

その武器によって成果を出せるようになれば、スポンサーから見た選手の価値も高くなっていきます。

スポンサーがほしいなら、まずチャンスを生かせる人になる。

そしてチャンスが来たときに行動し、結果を出す。

それが次のスポンサーや、さらに大きな支援につながっていくのではないかと思います。