プロダーツのスポンサー制度を考える|「鬼ロビン×懸賞金」という新しい収益モデル

ども、武器商人です。

プロダーツ界は今、かつてない盛り上がりを見せています。参戦選手は増え、ユニフォームには数多くの企業ロゴが並び、一見すると非常に華やかです。

しかし、その舞台裏を支える「スポンサー制度」に目を向けると、今の時代背景やスピード感とのズレが生じ始めているようにも感じます。

私自身、スポンサーとして関わった経験を持つ一人のファンとして、今の仕組みが抱える限界と、それを打破するための新しい可能性について考えてみました。

プロダーツのスポンサー制度が抱える課題

プロダーツツアーを観戦するようになって10年ほど経ちます。選手もスポンサーも増え、ユニフォームはスポンサー広告で埋め尽くされるようになりました。

もちろん、それだけスポンサーが増えたのは業界にとって良いことです。ただ一方で、このスポンサー制度は、どこかテレビ全盛期の広告モデルを引きずっているようにも感じています。

日本では、参加費を集めてそのまま賞金として分配するトーナメントは、賭博罪との関係が問題になります。個人的には、賭博とスポーツの賞金トーナメントは目的も保護法益も異なり、似て非なるものだと思っています。しかし、現行法の解釈上は、そのような形式を採ることは難しいのが実情です。

その結果、賞金の原資はスポンサーが負担する形となり、現在のプロダーツのスポンサー制度ができあがったのだと私は理解しています。

つまり現在のプロダーツは、「選手―スポンサー―団体」の三者で成り立つスポンサー制度です。スポンサーが団体へ協賛金を支払い、その対価として選手のユニフォームにロゴを掲載する。これが現在の基本的な仕組みになっています。

私自身、一度だけスポンサー登録をした経験があります。しかし、広告主の立場からすると、手続きは煩雑で、コストもそれなりにかかる。その一方で、広告効果は正直見えにくい。

テレビ時代なら合理的だったのかもしれませんが、SNSが中心となった現在でも、この仕組みが最適なのかは疑問です。

以前、Xスペースで「スポンサー制度」をテーマに話したところ、思いのほか反響がありました。話し切れなかったこともあるので、改めて整理してみます。

プロダーツ選手の競技成績と収入が結び付きにくい現状

まず感じるのは、このスポンサー制度そのものに少しずつ歪みが生じてきていることです。

人気偏重、団体を通さない個人スポンサー、所属団体以外の筐体を使ったイベントへの参加など、スポンサーが拠出する費用と得られる広告効果が釣り合っていないのではないかと感じることが増えました。

この流れが進めば、「スポンサー登録をしないほうが合理的」という判断をする企業が出てきても不思議ではありません。そうなれば、賞金の原資が減り、結果として賞金額にも影響が出る可能性があります。

もちろん、選手には生活がありますし、団体やディーラーにもそれぞれ事情があるでしょう。

ただ、スポンサー収入だけではなく、競技結果が収入に反映される仕組みを、もう少し増やしても良いのではないかと思います。

現状を見ると、プロツアーで好成績を残しても知名度がなかなか上がらない選手がいる一方で、競技成績が振るわなくても、あるいはツアーに参戦していなくても、イベント活動などを通じて高い知名度を獲得している選手もいます。

もちろん、そのような活動を否定するつもりはありません。

ただ、競技スポーツとして考えたときに、競技成績と収入・知名度の結び付きが少し弱くなっているように感じます。

相撲の「懸賞金制度」をプロダーツに導入できないか

そこで面白いと思ったのが、相撲の懸賞金制度です。

相撲はユニフォームがありません。

……そこじゃない。

相撲では、一つひとつの取組に対してスポンサーが協賛金を拠出し、勝った力士が懸賞金を受け取る仕組みになっています。

実はこの仕組み、SNS時代との相性がかなり良いのではないかと思いました。

「鬼ロビン×懸賞金」という新しいスポンサー制度

これをダーツに置き換えたらどうでしょうか。

例えば、ロビン単位でスポンサーが協賛できる仕組みです。

鬼ロビンはダーツ観戦の醍醐味の一つです。

※「鬼ロビン」とは、実力が拮抗した有力選手が集中し、予選通過が極めて困難な「死の組」を指すダーツ用語です。

そんな注目ロビンにスポンサーがお金を出し、広告を掲載できる。そして、ロビンの結果に応じて、その協賛金が懸賞金として選手に支払われる仕組みです。

さらに、懸賞金を提供したスポンサーを試合アーカイブの最後で紹介したり、団体や選手がSNSで紹介したりすれば、広告効果も期待できます。

SNS時代に「懸賞金型スポンサー」が向いている理由

選手は懸賞金を獲得したことをSNSで報告し、ファンは「おめでとう!」とリアクションする。

その投稿の中でスポンサーにも自然と注目が集まり、インプレッションやいいねも期待できるかもしれません。

ユニフォームのロゴを見せるだけよりも、スポンサー・選手・ファンの間でコミュニケーションが生まれるため、ネット時代にはこちらのほうが広告として機能する可能性は高いと見ています。

また、この仕組みの良い点は、選手個人へのスポンサー契約に依存しないところです。

例えば、デビュー戦の新人であっても、初戦から懸賞金を獲得し、次戦の参戦費用を賄える可能性があります。

最近思うのは、話題になった選手でも、参戦費用などの問題から次の大会に出場できないケースがあり、とてももったいないということです。

もちろん、注目を集めればスポンサー契約の話が出ることもあるでしょう。しかし、スポンサーとの交渉や契約を経て、実際に活動資金を得られるまでには、どうしても時間がかかります。

その点、ロビン単位で気軽に協賛できる仕組みがあれば、そうした手続きを大幅に簡略化できるかもしれません。

SNSで話題になった選手には、1〜2週間でイベント出演の依頼が届くことも珍しくありません。

それだけ情報の流れが速い時代だからこそ、スポンサーの仕組みにも、そのスピード感が求められているように思います。

プロダーツのスポンサー制度には新しい収益モデルがあってもいい

もちろん、これはアイデアの一つです。

実際に導入する場合には、賞金の拠出方法を含めた制度設計や、法律面での専門的な確認も必要になるでしょう。

ただ、スポンサー制度そのものを見直すことで、選手・スポンサー・団体の三者にとって、今より良い関係を築ける可能性はあると思います。

現行のユニフォーム広告を否定する必要もありません。

従来のスポンサー制度を残しながら、

「試合やロビンそのものにスポンサーが付く」

という新しい仕組みを組み合わせる。

そうすることで、スポンサーには広告効果を、選手には競技成績に応じた収入を、ファンには試合を見る新たな楽しみを提供できるかもしれません。

プロダーツの競技結果と選手の収入を、今より少しだけ直接結び付ける。

「鬼ロビン×懸賞金」は、その一つの方法として面白いのではないでしょうか。