ダーツのシューズ(スニーカー)について考察|箱根駅伝のシューズ戦争に学ぶ

ども、武器商人です。

ダーツのシューズというのは、かなり興味深い分野にもかかわらず、あまり語られてこなかったテーマだと思います。

まず何が面白いかというと、スティールダーツの公式戦では、ドレスコードとして革靴の着用が義務付けられています。一方、ソフトダーツの場合は革靴もしくはスニーカーの着用が認められており、ランニングシューズを履く人もいれば、ブーツを履く人もいます。メーカーも実にさまざまです。

今回は、その中でも話題をスニーカーに限定して考えていきます。

ダーツのシューズ(スニーカー)が語られない背景

スニーカーと聞くと、多くの人はメーカーのロゴが入ったものをイメージすると思います。プロソフトダーツの大会ではユニフォームチェックが行われ、スポンサー登録されているロゴ以外は基本的に掲載できません。このルールは、シャツだけでなくアームカバーなどにも適用されているようで、実際にユニフォームチェック対策として、無地のアームカバーが用意されているケースもあります。

しかし、靴についてはその制限がありません。

そのため、ナイキでも、アディダスでも、アシックスでも、好きなスニーカーを履いて良いことになっています。もし靴についても、スポンサー登録を受けていないメーカーのロゴが入ったものが禁止されてしまうと、多くの選手にとって大きな支障が出るからでしょう。

ただ、この「無規制」であるという点が、逆に面白い現象を生んでいるとも感じています。

どういうことかというと、靴はスポンサー対象ではないため、どのメーカーを履いても自由である一方、スポンサーされていない商品をわざわざ宣伝する必要もありません。その結果、プロ選手が「どのスニーカーが良いのか」を積極的に発信しない、非常に珍しい分野になっているのです。

ここ10年間の箱根駅伝のシューズ戦争に学ぶ

皆さんが箱根駅伝にどれほど興味があるかは分かりませんが、
実は箱根駅伝では、「シューズ戦争」と呼ばれるほど熾烈な争いが行われているのをご存じでしょうか。

特にこの10年間は、箱根駅伝の歴史の中でも
シューズの勢力図が最も大きく変化した期間だと言われています。

詳細については参考記事に譲りますが、
流れを理解するうえで重要なポイントを要約すると、次の3つの時代に分けることができます。

(参考にした記事)

【箱根駅伝2026】シューズで読み解く激動の10年史:『ナイキ一強』から『戦国時代』へ | 姫路市・加古川市周辺でおしゃれな注文住宅を建てるならヤマヒロ
2026年1月3日、第102回箱根駅伝が幕を閉じました。 選手たちの激走の裏側で、もう一つの熱い戦いが繰り広げられていたことをご存知でしょうか? それは、**「シューズ戦争」**です。 かつて「薄底」が常識だった時代から、「ピンクの厚底」が

1.国産・薄底時代(~2017年)

アシックス、ミズノといった国産メーカーの薄底シューズが過半数を占めていた時代です。
当時のナイキはシェア17%前後で、第4勢力という立ち位置でした。

2.ナイキ厚底による市場独占(2018年~2021年)

ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」が登場し、
「ナイキでなければ勝てない」とまで言われる状況になります。

この時期のシェアは、驚異の96%
かつての王者だったアシックスは、シェア0%にまで落ち込みました。

3.四強時代(2022年~2026年)

厚底シューズの流れは続きつつも、
アシックスが「METASPEED」、アディダスが「Adizero」を投入し、シェア争いが激化。

その一方でナイキはシェアを大きく落とし、

そこにプーマも加わることで、四強が拮抗する時代へと移行していきます。

厚底シューズと区間記録

陸上トラック競技では、日本陸上競技連盟のルールにより、シューズのソールの厚さは25mmまでという制限があります。一方で駅伝競技では、40mm以内という規定になっており、トラック競技と比べると、やや自由度が高いルール設定になっています。

前述の参考画像を見ていただければ分かる通り、駅伝で使用されているシューズは、見た目からして明らかにソールが厚いことが分かります。

駅伝で言う「厚底シューズ」とは、カーボンプレートと高反発フォームを組み合わせたシューズのことを指します。ルールの範囲内で、なおかつ選手一人ひとりの走り方に合わせて、反発力・安定性・推進力といった性能を追い求め、各メーカーが開発を重ねてきた結果が、現在の状況です。

注目すべきなのは、こうした進化がたった10年足らずの短期間で起きているという点でしょう。

その結果、歴史の長い箱根駅伝においても区間記録の更新が相次ぐようになり、シューズの機能的な進化が競技結果に与える影響は、もはや無視できないレベルに達しています。

ダーツにおけるシューズ(スニーカー)の重要性

先に述べた通り、スティールダーツの公式戦では革靴の着用が義務付けられています。ただし、その一方で、革靴用の機能性インソールが数多く開発されており、実際に使用している選手も少なくありません

これはつまり、革靴という制約があったとしても、選手たちは足元の機能性を決して軽視していないということでもあります。革靴は、正直なところ運動に向いた履き物ではありませんから、その弱点を補う工夫が行われているわけです。

一方で、スニーカーを履いてプレーするダーツ選手も数多く存在します。そうした選手の中には、デザイン性を重視し、ユニフォームの色とシューズの色を合わせて選んでいる人も多く見られます。ナイキをはじめとした、ファッション性の高いスニーカーが好まれる傾向もあり、この点については駅伝のシューズ選びとは、やや文脈が異なるかもしれません。

ただ、ダーツという競技は、意外にも足の疲労によってフォームが崩れ、安定感を失ってしまうケースが少なくありません。そのため、履きやすさや疲れにくさを重視してシューズを選んでいる選手もいます。しかし、少なくとも駅伝で見られるような厚底シューズを履いている選手は、現状ではほとんど見かけません

ここで、少し立ち止まって考えてみてほしいのですが、現在のダーツにおけるシューズ選びの基準は、駅伝のシューズ戦争で言えば2017年以前の価値観に近いのではないでしょうか。

駅伝の世界では、この10年でシューズのトレンドが大きく変化しましたが、ダーツのシューズ事情において、そうした変化が話題になることはほとんどありません。もしかすると、駅伝と同じように、反発力のある厚底シューズがダーツにも向いている可能性はあるのではないでしょうか。

実際、駅伝で革命的な変化が起きた2021年前後は、コロナ禍の影響により、ソフトダーツのプロツアーが満足に開催されていなかった“沈黙の期間”とも重なります。そう考えると、ダーツ界でシューズに関する大きな議論が起きなかったのも、不思議ではありません。

なぜダーツではシューズの進化が起きにくいのか

私見ですが結論から言ってしまうと、
ソフトダーツのプロツアーにシューズメーカーが本格参入しておらず、ダーツ専用シューズというものが存在しないからです。

駅伝やマラソンのように、シューズメーカーが競技の中核に入り込み、性能競争を繰り広げる構造が、ダーツにはありません。

また、ダーツという競技は、「歩く・走る」といった動作が競技結果に直接結びつかないという特性があります。そのため、シューズの性能差がスコアに直結しにくく、注目されにくいという側面もあります。

ただし、関節や体への負担という観点で見れば、疲れにくいシューズを履いたほうが、長時間プレー時の安定感が増すのは間違いありません。それでもなお、「直接的に結果が変わる」と言い切れない点が、進化を鈍らせている要因だと言えるでしょう。

さらにもう一つ、一般向けに販売されているスニーカーで十分に事足りてしまっているという事情もあります。
インソールを調整すれば対応できてしまうため、メーカー側から見れば、専用モデルを開発する旨味が薄いスポーツなのかもしれません。

加えて、ダーツは激しい運動を伴う競技ではありません。そのため、シューズに求められる性能のハードル自体が高くなく、結果として「既製品+調整」で完結してしまいます。足の疲労はあくまで間接的な要因であり、競技結果に直結しにくいことも、シューズ論が発展しない理由の一つです。

そして、日本のソフトダーツに特有の事情として、この競技が人気商売・エンタメ性の高い競技であることも無視できません。ユニフォームや見た目との相性を重視し、どうしてもファッション性が優先されがちな点も、シューズの機能進化が進みにくい理由だと思います。

まとめ:足元は、本当に「考えなくていい」のか?

この記事では、箱根駅伝で起きたシューズの大きな変化を手がかりに、ダーツにおけるシューズの在り方について考えてきました。

正直なところ、
「このシューズを履けば強くなる」
「駅伝用の厚底シューズがダーツにも最適だ」
そんな結論を出すことはできません。

実際、駅伝のシューズがダーツに合うかどうかは分かりませんし、競技特性もまったく異なります。おすすめできる特定のシューズがあるわけでもありません。

ただ一つ言えるのは、
他の競技で起きている変化は、必ずしも無関係ではないということです。

かつて駅伝でも、
トレーニング方法に重きが置かれており、
シューズは「日本人の足に合っていること」程度が重視され、
勝敗を左右するほどの要素ではないという認識があったようです。

また、大学によっては特定メーカーとの結び付きがあり、
性能そのものよりも、いわば「お付き合い」が優先されていた事情もあったと考えられます。

では、ダーツはどうでしょうか。

長時間投げたときの疲労。
立ち姿勢の微妙な安定感。
知らず知らずのうちに蓄積する足への負担。

駅伝と同様、パフォーマンス改善の余地のある分野なのではないでしょうか?
まだ誰も深く掘り下げていないだけかもしれません。

箱根駅伝で起きたシューズ戦争は、
ダーツに答えを与えてくれるわけではありません。
しかし、考えるためのヒントは、確かに与えてくれているように思います。

ダーツにとって、足元はどこまで重要なのか。

追求してみる価値はあるのではないでしょうか。