【提供:CUESOUL様】オーダーバレル使用レポート|制作の経緯と使用感

どうも、武器商人(@BukiDartsBot)です。

ダーツのバレルは、ダーツ業界の中でも特にお金がかかる商品であり、なおかつ新商品のリリースペースも早いため、注目している方も多いのではないでしょうか。

多くのバレルを購入していく中で、自分に合う・合わないが見えてきたり、「こういう形状のバレルがあったらいいのに」と感じるようになる人も少なくないと思います。

この記事は、そうした段階に来た方向けに、オーダーバレルという選択肢について整理したものです。

オーダーバレルを検討していると、国内バレルメーカーのオーダーが当たり前の選択肢として語られることが多いと思います。一方で、海外メーカーであるCUESOULも、独自の形でオーダーバレルに取り組んでいることは、あまり知られていません。

本記事では、CUESOULのオーダーバレルを実際に使用した立場から、国内オーダーと何が違うのか、またオーダーバレルを考える上で見落とされがちなポイントについて整理していきます。

オーダーメイドバレル(カスタムバレル)とは?

ダーツに使われるグッズの多くは、基本的に既製品です。チップやシャフト、フライトなどは大量生産されており、ユーザーはその中から自分に合うものを選ぶ、というのが一般的なスタイルになります。

ダーツは、わずかな違いが結果に影響する非常に繊細なスポーツです。そのため、個人が独自にグッズを製作することは現実的ではなく、バレルについても同様です。

特に、バレルの主素材であるタングステンは非常に硬い金属で、加工難易度が高く、個人が手作業で加工することはほぼ不可能と言っていいでしょう。

(参考記事)

ダーツのバレルに使われるタングステンとは?タングステン比率80%と90%の違いは?
ダーツバレルに使われるタングステンとはどんな金属なのか、タングステン比率80%・90%・95%の違いをわかりやすく解説します。細さや重さ、耐久性、価格、加工性、そして比率が生まれた歴史的背景まで詳しく紹介。タングステン比率ごとの特徴や選び方も理解できます。

一方で、ダーツのバレルに限っては、メーカーに依頼することでオーダーメイド(カスタムメイド)で製作することが可能です。

日本国内では、King’s JAPAN、COSMO DARTS、ORDER GRIP、S-DARTS、そして今回僕が依頼したCUESOULなどが、オーダーバレルに対応しています。また、英語でのやり取りが可能であれば、海外メーカーに直接依頼するという選択肢もあります。

ただし、実際に調べてみると分かる通り、オーダーバレルの依頼方法や、どのような工程で作られているのかといった情報は、あまり公開されていません。

そこで本記事では、オーダーメイドバレルとはどのようなものなのかを整理した上で、実際の事例としてCUESOULのオーダーバレルについて紹介していきます。

オーダーメイドバレル(カスタムバレル)を作る必要性

ダーツのバレルは、市販されているものだけでも数百種類以上が存在します。長さや形状、カットなどを意識して探していけば、自分の好みに合うもの、あるいは好みにかなり近いものを見つけられる可能性は高いでしょう。

多くのバレルは大量生産されているため、価格が比較的抑えられています。一方で、オーダーメイド(カスタムバレル)は少量生産・個別対応となるため、市販品と比べるとやや高めの価格帯になるのが一般的です。

ただし、プレイヤーモデルのバレルは、選手へのバックが商品価格に含まれているケースがほとんどです。そのため、モデルによってはオーダーバレルと大きく価格差が出ない場合もあります。

その上で、市販品ではどうしても満足できない場合や、「こういうバレルを使いたい」という明確なイメージがある場合には、オーダーバレル(カスタムバレル)は有力な選択肢になります。

私自身、市販品のバレルには概ね満足していましたが、「もう少しだけ長くしたい」と感じたことが、オーダーを検討したきっかけでした。

また、廃盤になってしまったお気に入りのバレルに近い形状のものを作りたい、という理由でオーダーバレルを検討する方もいると思います。

オーダーメイドバレル(カスタムバレル)の価格帯

ここで紹介する価格帯は、あくまでネット上で公開されている情報をもとにしたものです。
実際の価格は依頼内容やメーカーによって異なるため、参考程度にお考えください。

また、オーダーメイドバレルの価格には、単純な製作費だけでなく、設計の相談やデザイン調整といった、いわゆるデザインコンサルティング的な要素が含まれる場合もあります。そのため、市販品のように単純な価格比較ができない点には注意が必要です。

【価格が変わる要素】
・スペック
・デザイン
・初回作成かリピート作成か
・特殊加工をするか
・送料(配送先による)
・リテイク(デザインのやり直し)は何回できるか
メーカー 価格
エスダーツ ¥25,300 (税込)
オーダーグリップ ¥33,000 (税込)
CUESOUL(キューソウル) ¥15,000~¥20,000 (税込)

CUESOULさんへオーダーメイドバレル(カスタムバレル)を作成してもらった

以下では、今回オーダーメイドバレルを作成していただいた経緯と、オーダーバレル(カスタムバレル)の問い合わせから完成・発送までの流れについて紹介します。

制作期間については、内容にもよりますが、早い場合でおおよそ3週間程度、長く見ても4週間前後で完成する印象です。すでに図面が用意されている場合や、作成イメージが明確に固まっている場合は、よりスムーズに進むと思われます。

作成していただいた経緯

今回のオーダーメイドバレルは、昨年頃からSNS上でCUESOULの選手や商品を紹介・発信してきたことに対するお礼として、無償でご提供いただきました。

応援している選手が所属するメーカーの製品およびサービスを紹介する立場でもあるため、内容によっては多少ひいき目に見える部分があるかもしれません。その点については、あらかじめご了承いただければと思います。

オーダーバレル(カスタムバレル)の作成問合せ

以前は、CUESOUL公式サイトに記載されているメールアドレス宛に問い合わせをするか、担当者へDMを送って依頼する形が主流だったようです。

最近では、LINEでオーダーバレルの依頼を行うことも可能になっています。

スペックやデザインの依頼の仕方(手書きでもOK)

オーダーバレルの依頼にあたって、スペックについては、一般的にバレルで用いられる項目を記載すれば問題ないと思います。

【スペック記載例】
材質:タングステン90%
全長:46mm
最大径:7.0mm
単体重量:17.0g

材質は、主にタングステン90%になるそうです。80%や85%も作成することは不可能ではないようですので、どうしてもという場合は問い合わせてみてください。
注意点として、タングステンの比重や重量の関係上、理論的に実現できないスペックも存在します。その場合は、メーカー側から調整案が提示されることになるため、この点はあらかじめ理解しておく必要があります。

図面を作成できる方であれば、正式な図面を送って依頼することも可能なようです。ただ、正直なところ、私はそのようなスキルを持ち合わせていません。

そのため、今回は手書きの図面をもとに依頼を行いました。依頼時に送った図面をベースに、CUESOUL側で3Dモデリングされたバレルデザインを作成していただき、そのデータが確認用として送られてきます。

ちなみに、私の場合は、仲松みずきプロのバレル「ティストリア」をベースに、全長を5mm長くしてほしいという依頼を出しました。

以下が、実際に作成していただいた3Dデータです。

参考)デザインやカットに迷った場合は

デザインやカットのイメージが固まっていない場合は、以下の投稿に多数のサンプルが掲載されていますので、参考にしてみてください。

カット形状やデザインだけでなく、外箱のカラーについても、いくつかの選択肢が用意されているようです。

※本情報は2024年時点のものです。最新の対応内容や仕様については、CUESOULへ直接お問い合わせください。

依頼内容の確認

スペックやデザインに関するやり取りが一通り完了した後、依頼内容の最終確認として、以下のようなデータが送られてきました。

CUESOULのバレルといえば、やはり外箱の存在感ですよね。
外箱に印字されるスペックが反映されたデータを確認できるようになっており、この段階で「本当にオーダーバレル(カスタムバレル)を作っているんだな」と実感が湧いてきました。

なお、スペック表記の上部には、名前や任意の表記を入れてもらうことが可能です。今回は、自分の名前ではなく、ブログのドメインである 「BukiDarts.com」 を入れてもらう形でお願いしました。

最終納品物をイメージで確認

最終段階として、完成後の納品物をイメージしたデータが送られてきます。
いわば、プレイヤーモデルの完成イメージのような形で確認できるため、「いよいよ完成だな」という実感が一気に高まります。

実際にデータを見てみると、市販のプレイヤーモデルと同じような仕上がりになっており、正直かなりテンションが上がりました(笑)。

制作から発送までの期間

最終納品物のイメージ確認が完了すると、あとは実際の制作工程に入ります。
ここまでの打ち合わせや確認にはある程度時間がかかりますが、制作自体にはそれほど時間はかからない印象です。

体感としては、実際の加工はおそらく1日程度で行われていると思われます。
制作完了後は工場から指定した送付先へ発送されます。

なお、CUESOULのオーダーバレルは中国の工場から発送されるため、発送から到着まではおおよそ5〜6営業日程度を見ておくとよいでしょう。

CUESOULさんのオーダーメイドバレル(カスタムバレル)を受け取り

SNSに載せたものを貼り付けします。よかったらいいねやリツイートお願いします。

なお、もともと仲松みずきプロの「ティストリア」を長くしたいというのが要望だったので比較してみました。リクエスト通りになっておりますね。

CUESOULさんのオーダーメイドバレル(カスタムバレル)の使用感

本記事は2024年に執筆した内容をベースにしていますが、その後、一定期間このオーダーメイドバレルを実際に使用してきました。ここでは、投げ込みを重ねた上で感じた使用感について記載します。

結論から言うと、オーダー時に意図していた
「もう少し長さが欲しい」という点については、狙い通りの仕上がりでした。市販品では微妙に合わなかった感覚が解消され、グリップ時の違和感も上手く解消されています。

一方で、オーダーバレルだからといって、劇的にレーティングが上がったり、投げ方が変わったりするわけではありません。あくまで、感覚的な部分での安心感が増す、といった副次的な効果が大きいと感じています。とはいえ、ダーツにおいて感覚や信頼感は非常に重要な要素ですよね。

また、投げ込んでいく中でのカットの摩耗についてですが、CUESOULの他の既製品と比べても、特別に早い、あるいは遅いと感じることはありませんでした。
仲松みずきプロのバレル「ティストリア」も購入済みですが、それと比較しても、カットの摩耗や質感の変化は同程度だと言えると思います。

なお、このバレルを実戦で使う機会として、2025年に開催されたPHOENIX CUP 宮城大会にも、実際に仲松みずきさんと一緒に出場しました

久しぶりに一般大会に出場した!PHOENIX CUP 2025宮城(2025.6.22) 会場:サンフェスタ
どうも、武器商人(@BukiDartsBot)です。まず、ちょっとだけドヤらせてください。このブログの累計アクセス数が 100万PV を超えました!いつもご覧いただいている皆さま、本当にありがとうございます。当初このブログは、ダーツ界隈で話題になっている出来事や検索されそうなネタ...

正直なところ、練習では良い感触で投げられていたのですが、約6年ぶりに一般大会へ出場したこともあり、想像以上に緊張してしまい、思うようには投げられませんでした。結果も、正直さんざんでした(笑)。

それでも、この大会は自分にとって、とても貴重な思い出として残っています。

上手なプレイヤーの中には、バレルを次々に買い替えながら使い分けている人もいますよね。
僕自身は、そこまで腕前があるわけではありませんが、こうしてCUESOULさんにオーダーバレルを作ってもらい、推しである仲松みずきさんと一緒に一般大会へ出場する――そんな経験ができただけで、これ以上望むものはありません。

きっと、このバレルは一生使い込んでいくと思います。
もちろん、今後カットが摩耗して買い替えが必要になるかもしれませんし、あるいは「もう少しスペックを変えたい」と感じる日が来るかもしれません。そのときは、またCUESOULさんにお願いして、作り直してもらおうと考えています。

こうした体験ができるのも、オーダーバレルならではだと思います。

CUESOULのオーダーバレルの作成例について

この記事を公開してから、約1年が経過しました。その間、別の商品についてもCUESOUL様からご提供を受け、レビュー記事を執筆する機会があり、その際にCUESOULの担当者ともあらためてやり取りを行いました。

また、アクセス状況を見てみると、本記事は想定以上に多くの方に読まれており、CUESOULのオーダーバレルを検討している層から一定の需要があることも分かってきました。

一方で、記事全体として見ると、実際のオーダーバレルの作成例については、やや情報が不足しているようにも感じていました。そこで、その点についてCUESOUL側にも共有し、あらためて補足する必要があると判断しました。

その後、CUESOUL JAPAN株式会社の公式アカウントにて、オーダーバレルの作成例が定期的に投稿されているのを確認しています。実際の作成事例を見たい方や、デザイン・スペックの参考にしたい方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

https://x.com/Robert33139410

さいごに(感謝と補足)

本記事で紹介したオーダーバレルを含め、これまでCUESOUL様からは、

  • オリジナルダーツマット
  • ROST77
  • TEROフライト&シャフト
  • 今回のオーダーメイドバレル
  • OTOポイント対応バレル

2017年からダーツブログを書いてきた中で、更新が止まっていた時期もありましたが、こうして継続的に声をかけていただいたことは、これまで行ってきた発信や試行錯誤が、少なからず評価された結果なのだと感じています。

なお、本記事は提供を受けて執筆したものではありますが、単なる使用感の紹介にとどまらず、
「オーダーバレルとは何か」「なぜ企業体力や思想が重要になるのか」といった点まで含めて、自分なりに整理し、率直に書いています。

オーダーバレルという難しく、継続が求められる分野において、バレルだけでなく、チップやシャフト、フライトまで含めた一貫したものづくりに挑戦し続けている姿勢は、ダーツ業界全体にとっても価値のあるものだと感じています。

あらためて、今回の機会に感謝いたします。